2013年1月にアオテアロア・アイヌモシリ交流プログラムを通して、アオテアロア(ニュージーランド)を訪れた本会のメンバーは、パリハカにて、1月25日〜29日の間の言語復興の要とも言えるテ・アタアランギ教授法を学びました。この5日間の講師はルアケレ・ホレンドさん(写真二枚目、右)。 最初はマオリ語をテ・アタアランギを使って学び、27日からはテ・アタアランギでアイヌ語を学び、参加メンバーの関根健司氏、関根真紀氏、木幡弘文氏が講師役を務めるというセッションに挑戦しました。
パリハカでのテ・アタアランギ研修では、毎晩のようにルアケレさんとのミーティングが続けられ、どのようにアイヌ語に応用できるかが話し合われました。
2013年3月より、スカイプによるアイヌ語レッスンを始めました。これは、毎週、様々なアイヌ語の基礎を扱う教科書やラジオ講座、また物語から、アイヌ語を学ぶ取り組みです。
またレッスン後には、テ・アタアランギ法をどのようにしてアイヌ語の現状に応用できるか、今後どのような活動をしていくべきかなど、本会の会議を行っています。
またレッスン後には、テ・アタアランギ法をどのようにしてアイヌ語の現状に応用できるか、今後どのような活動をしていくべきかなど、本会の会議を行っています。
2013年8月から9月にかけて、テ・アタアランギ協会のエラナ・テ・ハエアタ・ブレワートンさんをお招きし、東京での講演を皮切りに、北海道では、二風谷と阿寒でワークショップ形式の合宿や講演を行いました。9月3日から始めた二風谷での合宿では、二風谷だけでなく、札幌や白老など道内の各所だけでなく、東京からもアイヌ語関係者が、忙しい時間を割いて参加し、テ・アタアランギ法を使ってのアイヌ語教育を、ともに考え、その実践を模索しました。
テ・アタアランギの基本は、小グループです。誰もが間違っていい快適な空間を作りながら、全員が新しい表現が発話できるようになるまで、何度も繰り返します。その間、笑顔は絶えません。初日は簡単にマオリ語での初歩的会話を学びました。
マオリは、様々な現代的な単語を話し合って決めていったそうです。そのうちの一つが、西洋からもたらされ、現代社会の日常生活で使うには不可欠な様々な色の概念。一つ一つの色に、伝統的な考え方を取り入れて採用された一語一語に意味があり、思いがあります。アイヌ語においてもどの表現がどの色に合うのか、話し合いました。
マオリ語 アイヌ語 日本語
Kōrero Maori anake! マオリ語だけで話してください。
Ainu itak patek ye yan! アイヌ語だけで話してください。
Whakarongo! nu yan 聞いてください。
Titiro! nukar yan 見てください。
Kōrero! ye yan 話してください。
Mārama? e=eramuan?/ k=eramuan. 分かった?/わかった。
Anō kanna もう一回(言ってください)。
Kōrero Maori anake! マオリ語だけで話してください。
Ainu itak patek ye yan! アイヌ語だけで話してください。
Whakarongo! nu yan 聞いてください。
Titiro! nukar yan 見てください。
Kōrero! ye yan 話してください。
Mārama? e=eramuan?/ k=eramuan. 分かった?/わかった。
Anō kanna もう一回(言ってください)。
二風谷のチセに、地元の人たちをお呼びして、マオリの言語復興とテ・アタアランギについての講演を行いました。先住民族としてよく似た歴史を持ち、一時は話し手が年長者のみ(子どもや大人は英語のみ)に激減したマオリ語が、子どもも大人も話せるようになった話などに、地元の皆さんは真剣に聞き入っておられました。講演では質疑応答を中心に話をすすめ、実際にテ・アタアランギ法を実演したり、盛りだくさんでした。講演後には、地元の皆さんに、合宿の模様を見に来てほしいと伝え、後日たくさんの方が見に来てくれました。
数字の数え方もテアタアランギでは、サイズと色が異なる10種類のブロックを使って教えます。
二風谷では、子どもたちのアイヌ語教室にもお邪魔しました。アイヌ語で唄を唄ったり、エラナさんの絵本の物語に聞き入る子どもたちが印象的でした。
さらにテ・アタアランギ法を使って、「木の上」や「家の中」といった位置を表す表現をどう教えどう学ぶかが検討されました。この他にも数字の応用としての時間の表し方や、物を受け渡しするときの表現なども学びました。
二風谷合宿最終日前夜には、BBQを楽しみ、翌日名残惜しいお別れの日を迎えました。それぞれが今回で学んだことを話し、マオリの挨拶のホンギも行いました。
阿寒でも、二日に渡って、テ・アタアランギの紹介と、アイヌ語への応用実践が行われました。参加者の皆さんは、お仕事がお忙しい中、夜遅くにこのワークショップに参加してくださり、また今後も学びたいと語ってくれました。
2013年10月より、スカイプでのアイヌ語では、テ・アタアランギ法をビデオ通話でどのように行うかを試したり、さらにいろいろな教材でのアイヌ語学習を実践し、議論しています。
2014年3月、本会のメンバーの一人が、アオテアロア(ニュージーランド)のハミルトンを訪れ、現地で行われていたルアケレ・ホンドさんによる
テ・アタアランギ協会のカインガ・コーレロレロのメンタートレーニングを見学しました。
カインガ・コーレロレロは、マオリ語が各家庭で実際に使われるために、2006年から始まった取組みで、メンターと呼ばれる各指導者が、自分のコミュニティ内で、日常生活のあらゆる場面でマオリ語を話す努力をする家庭を訪問し、それサポートする試みです。メンターの皆さんは、ルアケレさんと、その実践の苦労や実りについて、またこの取り組みの意義について、語り合われていました。
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