団体設立までの経緯
ユネスコにより、危機に瀕する言語として最高ランクの「極めて深刻」な言語として指定されたアイヌ語は、話者が激減し、母語話者はほぼいないと言われています。これは植民地化を受けた世界中の先住民族に共通の問題ですが、アオテアロア(ニュージーランド)のマオリは、1970年代より言語復興に成功し、日常生活においてネイティブレベルで話せる話者を増加させました。マオリの方法論に倣った世界の先住民族は、ハワイのカナカマオリ(ネイティブハワイアン)や北欧のサーミをはじめ、台湾や北米にも多いです。2013年1月にアオテアロア・アイヌモシリ交流プログラムを通して、現地を訪れ、マオリとの交流を経た本会のメンバーは、各地のコミュニティで英語しか話せなかった大人にマオリ語を教える際、最も有効であったマオリ語イマージョン(その言語のみ)で教えるテ・アタアランギ教授法を実地に学びました。各地のマオリが何度も話し合い、マオリの知恵や価値観を基礎として作ったこのイマージョン教授法に感銘を受けたメンバーは、日本式の教科書による文法訳読に頼りがちなこれまでのアイヌ語教育への新たな試みを始めようと、本団体の設立を期しました。 団体のミッション ー各地のアイヌやアイヌ語教育者が話合いを重ね、方言差を認め合いながら、日常生活で話せるアイヌ語を復興させること。 — アイヌの知恵や価値観を基礎としたアイヌ語イマージョン教授法を作り上げること。 現在の活動内容 / 今後の活動計画 2013年2月に帰国して以来、各地のアイヌ語教育関係者に声をかけ、アイヌ語でのテ・アタアランギ教授法を模索しています。2013年8月には、マオリの教授法専門家エラナ・ブレワートンさんを招聘し、2週間に渡り東京や北海道各地で講演等を行いました。二風谷で1週間に及ぶ合宿式のワークショップを行い、札幌、白老、千歳、旭川、様似や東京のアイヌ語関係者と話し合いながら導入レベルのアイヌ語教授法を検討しました。12月にも札幌にて、道内や東京などからアイヌ語教育関係者が集い、教授法の検討を重ねています。また毎週スカイプを使った会議ならびにアイヌ語教育を行いながら、本教授法の発展を目指しています。2014年度は、8月から9月にかけて、マオリのテアタアランギ専門家を招聘し、アイヌ語、アイヌ文化を復興するための教授法作りを実施します。 |